「あ――――――――
-暇談 (ひまだん)-
―――――ぁあ――…………、」
昼とも夕方ともつかない頃。時刻は多分4時ぐらい。
遊びは午前にたっぷり堪能。
昼寝をするにも眠くない。
おやつには微妙な時間帯。
そんな折、郁がいきなり変な声を出した。
長く続いた声は空中に自然消滅するまで続き、
たっぷり十数秒の余韻を残してからパステルオレンジの球体が口を開く。
「……何?」
「いや、どのくらい息続くかなって」
「ふーん」
興味の無さそうな声が言って
沈黙の幕が下りる。
そして再び破る郁。
「なぁ。」
「ん?」
「さっきの何秒続いたと思う?」
「知らないし。オレはストップウォッチか?」
「あー……」
また意味不明な声を出し。
「ヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマ。」
「……。」
今度の独り言は無言を返される。
「なぁ、『ヒマ』って何回言ったと思う?」
「もっとパターン無いわけ?」
「……ない。」
ため息をつきつつ
それでも付き合うのは彼も郁と同じだからなわけで。
「えーと」
口の中で何回か呟いて
「7回だね。」
「8回でしたー。」
「7回だよ。」
「『ヒマって何回言った?』っていうの入れたら8回だよ。」
「あぁ、そう。」
「……何やってるんだ。」
いきなり湧いた声に二人が振り向く。
引き戸を開けてミントと郁を見ているのは、確かさっき「仕事してくる」と言って席を立ったカービィの姿。
「花火作ってたんじゃないの?」
「いや、奇声が聞こえたから……」
どうやらさっきの郁の声のことらしい。
二人を見て、ひとつ息を吐いた喪は
「……お前ら、若いもんがゴロゴロして何やってんだ。」
爺臭いセリフのあと、
小さいほうの球体2人はちょっと視線を交わし、口を揃えて言った。
「「だって暇なんだもん」」